友人と決別する数日前、鹿っちゃにお米を買いに行った。もっと早く行こうと思っていたのだけど、閉店セールとこの町の猫の問題、古民家の冬支度で忙しかったのと、「新嘗祭」のことを知り、天皇陛下より先に新米食べちゃダメね。ということで、11月23日までに新米をいただきに行こうと思っていると時間がちょっと経ってしまってた。

鹿ちゃさんは、初めてメヤニーの動画を見た時から、メヤニーをとても可愛いと言っていた。だから、猫のことがよくわからなかった私は彼女の目を通して、メヤニーの愛らしさに気づいていくの。だから、私にとって、鹿っちゃさんとメヤニーはなんか繋がってたの。以前も一度、りらとの関係が険悪で危ないからというものあって、預かってもらえないかと相談をしたこともあった。

今回、彼女は、メヤニーを引き取ると言ってくれた。麻生子と麻生美も考えてると言った。だけど、麻生子と麻生美は他の猫たちのテリトリーに割り込んで、喧嘩をするの。これに麻生とメヤニーとで4頭になると、当たり前に、我が物顔になっちゃうの。それが、リラと揉めた一番の原因で、リラにとってはすごいストレスになっていて、今も時々、外でずっと見張ってるし、顔を合わせると飛びかかって喧嘩する。

問題は、リラとの相性の問題かと思っていたら、私の家の後に家を置かせてもらってたOさんの家でも同じようなことがあって、Oさんの犬の様子がおかしくなった。ゆきさんともあって、ゆきさんの餌を狙うから、なかなか餌を食べさせられない。

一番いいのは、麻生一家の担当が決まること。麻生たち家族+メヤニーが安心して、餌をもらえて、居場所を持てることだと思ってはいたけど、この町の猫の数に対し協力参加する人たちの数が全然足りない。私は、.リラとヴェガのことで手一杯。ましてや、リラは麻生一家のことがすごくストレスになっるようで、膀胱炎で血尿出しているけど寝ずに見張っていたりする。

先住猫がいる場合は、麻生子と麻生美は難しいと思った。だから、メヤニーだけでという事になった。

ちょっと家を空けたりで忙しいので、翌月の初め頃に私が連れていく事になってたんだけど、今回の私の友人とのことで、その友人からのご縁だった鹿っちゃさんには、ある程度事情をお伝えしておかないと思いメッセージを送った。

彼女がいない数日の間、彼女のお母さんが見てくれると事になり、明日にでも迎えにくると。麻生子と麻生美も。

明日見つからないかもしれないから、麻生子、麻生美、メヤニー、一頭ずつ、腕に抱えて家に連れて帰り、その日のうちにケージに入れた。麻生美は風邪をひいていた。

麻生が家の前に来て、悲痛な声で泣き始めた。子猫たちも反応する。

仕方ない。

麻生も同じケージに入れた。いつも一緒にいた麻生親子とメヤニー。大人しくケージの中の段ボールに固まって入っている4頭を見ながら、子供達と麻生を離すことに、とても疑問を持ち始めた。そして、悲しくなった。ちょっとやんちゃな麻生子を抱きかかえて、リラクシングチェアに座った。

私の胸の上で静かに、私に身を委ねてた。

リラとの折り合いが悪く、喧嘩が起こるので、私の家の敷地に来ると棒で追い払っていたのに・・・。私を信頼している。

ごめんね・・・。

1時間ほどして、ケージに戻した。

猫たちは、私をじっと見る。

ごめんね・・・

 

その夜、ゆかさんが家族で麻生たちにお別れを言いに来た。

麻生も一緒に連れて行ってもらえないかと連絡をした。

翌朝、「麻生は難しい」と返事が来た。一晩考えたんだと思う。

 

わかってる。無理なことは。

それでも、何もなかったように、子供達と麻生を離すことはできないと思ったの。

時がくれば、自分たちの意思で、親から旅立たないといけないのだと思う。

私たち人間に、何の権限があって、この子たちを離すのだろう。

夏から麻生の子育てをずっと見てきた私には、麻生と子供を離すことは出来なかった。じゃぁ責任を取れるのか?その「責任」とはなんだろう・・・。

麻生たちが、私の目をじっと見てた。私は「お願い!離さないで!」と訴えてるような、気がした。

一晩、麻生たちを見ていて、この親子を私たち人間が、離すことは出来ないと伝えた。

メヤニーを胸に乗せ、ただ、今、メヤニーといる時を味わった。

お迎えが来る2時間ほど前、メヤニーをキャリーに入れた。

メヤニーの母親や兄妹がいるところに、行った。

2頭の兄弟のうち、1頭、全く私に寄り付かない子とハタモンがいた。いつも、メヤニーから食べ物を横取りされていたはたモンは心配そうな目をしてキャリーの中のメヤニーを見ていた。兄弟は、メヤニーにミャーミャー言った。メヤニーは手足をキャリーから出して、そこから出ようとした。

ここの猫たちには、この子たちの家族があり、社会があった。オスのメヤニーはいつかは巣立つとは思う。それでも、私たち人間が、何の権限があって、この子達を離すのか。人間は、この子達より正しいのか。

ごめんね・・・・

「はたモン、お願い!クロイチを探してきて!」

はたもんはキョロキョロしたけど、どこを見回しても母猫のクロイチは見当たらなかった。

家に戻って、メヤニーを抱いて椅子に座った。

彼女は決別した友達の友達。だから、もう2度とメヤニーに会えないかもしれない。

ごめんね・・・。

たくさん一緒に過ごしたね。楽しかったね。ありがとうね。涙が止まらなかった。

 

あと30分ほどで到着すると連絡があった。

もう一度、メヤニーをキャリーにいれて、クロイチたちがいそうな所に行った。

メヤニーの兄妹のクロイチコがいたけど、クロイチはいなかった。

会えなかったけど、私は精一杯やった。私は私のために、私が後悔しないためにやった。

ひどい目脂の子猫を見て写真を送ったら、このままじゃ失明してしまうかもしれないから、薬を与えるようにと言われた。私を警戒してなかなか姿を見せてくれなかった。ちゅーるに混ぜて薬を飲ませた。メヤニーの目はきれいになった。それからはメヤニーは私に懐いた。

多分さ、メヤニーはわかってるんだと思う。メヤニーの目を治したいからって、通っていたことを。治してくれた人なんだと。

私にとっては、関係性を持ったら、猫も、犬も、人も、同じようなもの。

涙が出るのは、心に触れたから。心に触れた交流があったから。

 

わかってる。

猫好きの鹿っちゃさんのところでは、美味しいものもいっぱい食べれる。大切にしてもらえる。

それでもね、手一杯で何も出来なかった私だけど・・・メヤニーを愛していたと思うよ。

 

私の家では猫や犬を飼うことはなかった。

父は「情が移るから」と言っていた。

父が言った通りだった。