おじいさんの家の周りにいる猫たちに餌をあげた帰り、あまり見ない猫にあった。ハチワレ。
何度か見たことがあると思う。多分あの猫だと思う。確信はない。
確信がない一つの理由は、私はその猫と関係性を持っていないから。あまりに気していないから、見分けがつかない。
毛並みもよく、肉付きも良かった。誰かが餌をあげてるのだと思う。耳を切っていないので、避妊去勢はしてないと思う。
おじいさんの家の周りの猫たちのことをやっていると、色んな人に出くわすし、噂も耳にする。
餌が飛んできたり。隣町の人が餌を持ってきたり。
近所の人が、誰の家の中に入っていたとか、どの猫をだったとか。そういう猫は毛並みも良く堂々としてる。
この前も、ある小道に猫の餌かもしれない、ボールを見た。
この町に、猫はいる。
いっぱいいる。
その猫たちが、ごみ置き場を漁っていないのなら、比較的安定して、どっかっこかで餌をあげている人達がいるのだと思う。
みんな隠れて餌をやる。
こうやって猫たちと関係性を持ってくると、なんとなく、どこの誰が、とかわかってきたりもする。でも、まだ何も知らないとき。猫たちのことでその人達と話をしたとき、彼らは、猫を嫌ってはいないが、「知らない」という。餌をどこで食べてるんだろう、って話をしても「知らない」という。
猫に迷惑をしているという人たちは、口を揃えて「S井さんが餌をあげていたのが悪い」という。
S井さんのご主人は全く隠れず、堂々と、大っぴらに、猫たちに餌をあげていたそうだ。
今朝、道で出くわした近所の方と猫のことを話した。傷を負った猫(富士男さん)がこの前二ヶ月ぶりに現れて、痩せて、傷がもっとひどくなっていたと。その猫は、多分、お宅の庭や山、Mさんのところ、あとFさんのとこから3丁目に入るあたりにいるんだと思う。その猫は、以前はNさんの駐車場あたりで時々見ていたけど、S井さんの餌やりで見たことはなかった。S井さんの玄関前で見たこともなかった。
だから、富士男さんはS井さんが餌をやってたんじゃないと伝えたら、ちょっと空気が固くなった。多分、その人は、S井さんが餌をやっていた猫だと思っていて、S井さんが餌をあげるのが問題だと思っていたのだと思う。思い込んでいたのだと思う。でも、そうじゃなかった。と、突然誰かに言われて、困ったのだと思う。話がそれていった。
「こうやって猫のことで動いていると、結構、餌やってる人いるみたいなんですよ。で、みんな隠れてるんですよ。だから把握もできない。で、餌やりが悪いって言っているから、隠れてやるんだと思うんですよ。餌を上げることが問題じゃなく、まずは避妊去勢をすることだと思うんですよぉ。」
「仔猫がウロウロするでしょ」
「そうなんですよ。だからまずは避妊去勢なんだと思うんですよぉ。この前、あっこのおじいさんとこの猫3匹避妊手術したんです。協力がほしいと、お手伝いが必要だとポスティングしたけど、連絡はありませんでした。お金も労力や時間も、もうやばいです。どうしたらいいか、色々考えてはいます。Youtubeチャンネル作ろうかとか。」
家に帰って、ふと。魔女狩りみたいだなって思った。
人間の心理とか、集団の心理とかって、何百年、何千年経っても、たいして変わらないらしい。紀元前の哲学とかも同じようなこと言ってる。人間は同じようなことを言ったり、やったりする。それがいいとか悪いじゃなく。人間ってそんな感じなんだと思う。