猫たちは、臭いを嗅いで、多分臭いがある所でトイレをするみたい。麻生一家が私の家のそばに引っ越すとき、トイレを作った。そこに、麻生たちが使ったトイレの砂を入れておいたら、数日後、ほとんどそこで用を足すようになってくれた。
だけど、麻生一家は、リラと上手くいかず、追い出されて、今は坂の下にいる。そこは、歴代の野良猫たちが好んでいた場所で、気づくと、歴代の野良猫たちが糞尿をしていた、所、スポット、の臭いを嗅ぎ、そこで用を足している。
でも、そこは、通り道だったり、誰かさんの家の裏手だったりで、あまりよろしくない。
さて・・・。どうするか。
それで、その近くにトイレを作ってみようと考えた。
その歴代の糞尿スポットとその近くに、合計2箇所のトイレを設置してみようと思う。新しいトイレには、歴代の臭いの染み付いた土と砂を入れて、二箇所でトイレをしてくれるようにならないかと。二箇所でやってくれるようになったら、歴代の糞尿スポットのトイレを片付けて、新しいトイレに移行してもらう。
ということをやってみようと思ってる。
それで、新しいトイレの場所の雑草や土を整備していたら、町内のある奥さんが通りかかった。
「ありがとうね。地域のために」
「あ、こんにちわ!地域のためってわけじゃないんです。ほんとに解決策がないのか、なんか腹が立ってね」
”地域のため”と言われてみて、地域のためというより、生きている社会、人々のあり方、そういうのへの疑問と怒りだったりして、それは「地域」という限定された、ここだけのことではなく、多分、多くの場所でこういう感じのことがあり、自分が今生きている、日本、地方、社会がこんなんじゃ嫌だと思ったから。
本当に、解決策がないのか。それは、人間次第じゃないかという疑問。それと、人間が、殺伐としている。心に余裕がなく、他者に冷たいというか、無関心。日本に帰ってくると感じる。
「猫の保護活動している団体とか、誰かが保護してくれたり、連れて行ってくれても、終わらない。これは、ここの地域の人たちが向き合わないといけないことだと思うんです。」
「そうね・・・地域の人たちがやることよね」
その奥さんは、そう言ってくれた。そう以前から理解はしていたような口調だった。
そう思っていたとしても、猫を嫌ったり、餌をやっていたS井さんが悪いという人たちはまだ根強い。自治会の役員をしているご主人も、猫をすごく嫌ってる。だから、多分、その奥さんも、自治会などではまだそうはいえないんだとも思う。
このトイレ移動作戦だって、うまく行くかわからない。
うまく行って、新しいトイレで用を足してくれるようになったとしても、その糞尿は誰か処理するのか。
私は以前、自治会長に何故か突然怒鳴られた。私は怒鳴られたり、大きな音とかがとても苦手で、そういうことがあると、しばらく精神的に不安定になる。だから、一旦、自治会を抜けさせてくださいと言った。自治会に入っていない人は、ゴミを出してはいけないと言われたことがあり、極力ゴミを少なくしているし、一人なので、ゴミは少なくてもともと週一くらいだった。
私がトイレを掃除するのは、私がゴミを出す日で、2週間に一度くらいだと思う。
地域の人たちが、協力して、向き合っていかないと、解決はしないと思う。それでも、できることをやってみる。うまくいかなかったことも含め、全ては意味がある経験だと思うから。
そして、うまく行ったことも、いかなかったことも、書いていきたいと思ってる。
きっと、「ぼくたちの町」だけの問題じゃないと思うから。