ひと月ほど前から、なんでか、毎日、毎日、猫の動画を見てしまうようになりした。
19歳の頃に猫を飼ったのですが、1年もせずにニューヨークに行く事になり、弟に猫を預けたのですが、逃げてしまいました。それ以来、動物を飼うという事はしないと決めていました。私自身が、突然どこかに行ったりするし、ほんとに、動物を飼ってはいけないと思いました。
別に、猫が好きとか、小動物が好きとかでも無いんです。今のこの家は、前に住んでいた人が猫を飼っていて、すごく臭い部屋がありました。何をしてもだめでその部屋に入れない状態だったけど、漆喰を塗ったら、おさまりました。
なんで、猫の動画ばかり見るのか、自分でもわからないけど、どんどん、毎日はまって行っていました。
うちの、町内は猫がいっぱいいます。ごみ置き場の近くに住むS井さんが猫たちに餌をあげていました。もともとは、ご主人が猫を可愛がっていて、避妊や去勢もしていました。1年ほど前にご主人が亡くなり、奥さんはもともとここの人ではなく、福岡市から嫁に来たそうで、子供もいないので、福岡に引っ越すと言っていました。
以前はよく家の前に出てきていたのですが、ご主人がお亡くなりになってから、あまり見ないようになりました。数か月前に家に行ってみると、6月に引っ越すのだと言っていました。なので、10日ほど前に、ご挨拶に行ってきました。
家の周りには、猫がいっぱいいました。
「S井さん、猫、どうなるの?」
「知らないわよ!野良がどんどん来て、うちの子じゃないから。」
S井さんの家の庭には、4匹の仔猫に授乳をしている猫もいました。
気になったので、S井さんの家の前に暫くいたら、成猫が3匹、仔猫が4匹。
どうしたらいいのか、ネットで調べると、去勢・避妊手術をして地域猫としてかえすというのがあるのを知りました。さくら猫と言って、耳をカットしているそうです。そういった手術は補助金もあると知り、いっぱい調べたのですが、自治体や地方によって、手出し無しで出来る所と、そうじゃないところがありました。ここ下関はまぁまぁ手出しになり、すでに7匹という事は、もう、私には無理。でも、北九州で猫の保護活動をしている友人がいるので相談してみました。
相談した翌日、もうちょっと数とか把握したいと思い、S井さんの家の辺りに行くと、もっといました。成猫10匹くらい、仔猫5匹。もうマジ無理。
その翌日には、また3匹くらい見つけました。
市の動物愛護センターに相談に行くと、餌やりをしなければイタチやタヌキみたいに自然淘汰されると。
まじで、私にはどうしようも出来ないので自然淘汰しかないと思ったのですが、餌をやる人たちは、あちらこちらにいるそうで、多分今後も増え続けるだろうと思いました。もう、見なかった事にするしかないと思いました。
ただ、一匹、おとなしくて、気になる猫がいました。翌朝、S井さんに、結局野良猫たちの事は、なにも出来ないかもしれないけど、その猫をうちで面倒見ようかと思うと伝えたら、S井さんは、すごく、すごく、喜びました。ご主人が生きていた頃に、避妊手術をしてうちの2匹が、気が弱いというか、他の猫がいたら見ておいてあげないと餌を食べれないとか。
S井さんは、もう餌の残りが少ないから、あと2回で終わりと言っていました。私がそれを伝えた日、S井さんはとても嬉しそうに、猫たちに餌をあげていました。
すごく、つっけんどんに、「知らないわよ!野良がどんどん来て、うちの子じゃないから。」と言ったのは、ご近所とかから、いろいろと言われていて、すごくセンシティブになっていたのだと気づきました。
それと、ご主人が亡くなった後、猫たちに餌をあげる事で、一つの役割を持てて、生き物のエネルギー、生きた何かとのコミュニケーションがあったのかもしれないと気づきました。
猫の餌やり問題、と、問題とされていますが、そこには、「孤独」という問題もあるんじゃないかと気づきました。
S井さんは、何度も何度も、「ありがとう」と、私に言います。
私は、猫を救うとか、S井さんを助けるとか、じゃなく、そういう流れで、そういう巡り合わせで、きっと、私もいろいろ考えたり、学んだりするのだろうなって思います。
私は猫に「リラ(こと座)」と名前を付けた。
リラ星人。