結構精神的に追い詰められてしまってた。
ネットでいろいろ調べていると、私の住む市内に保健所で殺処分になる予定の犬猫を引き取り保護するという保護団体があった。以前、いろいろ調べていたときに、殺処分対象になる猫たちを引き取り、里親を探すというので、助成金を出す機関があると見たから。それで、ダメもとで土曜日、保健所(動物愛護センター)に相談に行った。
この町で起こっていること、この町の猫たちのことは、この「市」の行政や人たちに知ってもらいたいとも思ったから。
だけど、やっぱり、引き取りはしませんと。わかってる。
令和になって、動物愛護の法律が変わって、保健所は引き取り拒否をすることができると。
保健所の方はいろいろ話を聞いてくれた。でも、引き取りはできない。
里親を探すことを勧められた。だけど、保護活動をしている人たちの譲渡会などは、検査、ワクチンも必要。譲渡の条件もとても厳しい。
スプレー行為が始まるかもしれないので、去勢手術もやっておいた方がいいかもしれないと。その場合は、領収証を取っておいて、譲渡先の方に実費でいただくことをアドバイスして貰った。個人で里親を探す場合は、そういった準備や条件をつけなくても済むから、個人で探してみてはどうかと。「今、保健所から紹介できる保護猫の活動をしている方は、この方です」とチラシをいただいた。
帰宅して、電話をかけてみた。出なかった。「縁がないのかしら・・・」。
その晩その方から電話をいただいた。何かあったらと気になったと。
この町の状況、私の状況、色々なことを1時間半ほど聞いてくれた。
元いた場所に戻して、心を鬼にするか。里親を探すか。だけど、もっといい条件の猫たちを欲しがる人は多く、去勢手術の実費をいただくことも難しいんじゃないかと。その方曰く「無料じゃないの?と、今まで費用をくださった方は数えるほどしかいませんでした。」
また、考えた・・・。どうしたらいいんだろう・・・。どうやったらいいんだろう。
朝4時半に目が覚めた。少し明るくなってきた頃に、麻生子と麻生美を抱きかかええて、もともといたお爺さんの家のところに連れていった。8時になったらおじさんが、餌をくれる。心を鬼にしようと思った。けど、麻生子と麻生美は立ち去ろうとする私を追ってくる。
その朝からだったか、麻生子と麻生美はご飯を食べなくなった。
餌が変わったから?いや変わってない。
体調が悪いの?目やにも鼻水も、くしゃみも止まってる。
夜はウエットをまぶしてみた。それでもほとんど食べなかった。
水を飲む量も減った。
私が、1日何度も何度もうんちをすることに苛立ちとストレスを感じているから?そう言葉にもしてるから?
リラがいない時に、少しの時間、ケージから出してあげる。
私が椅子に座ると、膝の上に乗る。
「どうしたらいいの?どうして欲しいの?」
私の膝や胸の上で、ゴロゴロという。
「お願い、食べて」
夕方は、ドライフードにちゅーるをまぶしてみた。それでも殆ど、舐めるだけで食べない。
餌を変えようかと、ネットで調べる。
いい餌を与えられるような余裕はない。私の食費自体が、ひと月1万円くらいなんだから。
去勢手術の相談のメールを獣医さんに送る。
いろいろとアドバイスを下さる。他のクリニックの情報もいろいろとくださる。
触れるのなら、譲渡もできると思う、と。
触れるどころか、膝に乗るし・・・人を、私を、多分、信頼している。安心してる。
トイレも今のところ、粗相をしたことは一度もない。
お返事しなくちゃと思いながら、どうするかを考える・・・。
考える・・・考える・・・そして寝落ちする。
麻生子と麻生美、この前もらわれていったメヤニーも、リラも、私にとてもなついている。懐いているというより、多分、対話したり、普通に意思の疎通をしてる気がする。
朝、リラがご飯を食べて外に出ていった後、麻生子と麻生美をケージから出して、私は椅子に座った。
麻生子と麻生美が膝に乗る。
ゴロゴロ言い出す。
安心した顔をする。
「ごめんね、うちでは面倒をみることができないんだよ」」
私は、ごめんねを連呼する。
相変わらずご飯を食べてくれない。
「お願いだから、食べて」
食べてくれない。
「この町からでていきたくないの?」
「私には無理なのよ。リラともけんかするでしょ」
「もっと美味しいものたべれるかもよ」
「この町からでていきたくないの・・・?」
「この町からでていきたくない・・・?」
「辛いよ。私も、あなたたちも。戦いだよ。」
「わかった、戦おう。ここで生まれた、あなたたちの、権利と猫権があるはず。」
猫に迷惑をしている。誰かが悪いといい、みてみぬふりを。だけど、誰かが餌をあげてて、猫たちにとっては多分ある程度自由のあるこの町は暮らしやすかったんだと思う。だけど、人間たちはそれを誰かのせいにするか、見て見ぬ振りをし続けた。
この半年でこの2丁目という町内で見た猫たちは40とうを超えた。
保護団体にやって貰えばいいんじゃないと思う。片付けて貰えばいいんじゃない。
私が苦しいなら、悲鳴をあげればいい。
少なくとも、猫たちの声より、人間たちには届きやすいはずだから。
「わかったよ。この町にいよう。一緒に戦おう」
麻生美が餌を食べ始めた。お水も飲んだ。
麻生子も少しだけど餌を食べた。
いつもの、ドライフードを貪る音が聞こえた。
麻生子と麻生美は私の猫じゃない。リラとヴェガも。
この町の猫で、私の猫じゃない。
私に何かあって、経済的、精神的に、肉体的に・・・。そうしてケアできなくなるかもしれない。だけど、私だけが無責任なんじゃない。みんなが少しずつ無責任なんだと思う。
出来るところまで、やってみようと思う。
この子達は、自分たちの権利のために戦いたいといってる気がするから。
暖房のない我が家の縁側のケージの中で、麻生子と麻生美は身を寄せ合って温めてる。
鼻水も、めやにも、くしゃみも止まった。多分大丈夫。頑張れ。